番留京子 版画(シルクスクリーン) プリミティブでありながら、多彩、多様な世界を自由気ままに描き、絵画にはないエッジの効いた表現ととぼけた味。日本の土俗信仰のあっけらかんとした明るさ、楽しさを掬い上げた希有の木版画。 「鯉が泳いでいたり、花魁が犬とからんでいたり、はたまた金魚をかついだ狼が登場したり...。番留京子の作品はどこまでも賑やかで、底抜けに楽しい。そして奇妙なことに、原色を基調にしたやけに派手な画面から、妙な郷愁を憶えることさえある。そう、花札に描かれた松や梅といった、日本的なキッチュの世界を否応なくそこに感じてしまうのだ。これは、彼女の出生は富山だが、生まれて間もなく東京に移り住み、高校卒業までのほとんどを浅草の近く、つまり下町で過ごしたことによろものだろう。幼い頃の遊び場は浅草寺の境内や仲見世通り、隅田川の川べりなど。好きなものを問うと、人のたくさん集まる所、ごみごみと雑多なものが集まっている所、祭り、中華街とのこと。そして作品によく登場する狼は、犬に由来するらしく、創形美術学校在学中に友人から貰った犬と一緒に通学する程の偏愛ぶりだったそうだ。また、下町育ちの彼女は、八百屋のオジサンなどとも大変仲がよろしいようだ。」"番留京子の世界"より ●タイトル 「I AM」 ●シルクスクリーン　2版2色 ●用紙　PHO ●サイズ　115mmx158mm ●制作　1989年2月 ●サイン入り ●エディション・ナンバー　748/2144 ●略歴 1960年 富山県生まれ 1986年 創形美術学校版画科卒業 1986年 第54回日本版画協会奨励賞受賞 以降各国国際版画展出品や個展開催 きれいな状態です。