駿台文庫の『日本史講義 時代の特徴と展開 (駿台予備学校講師 安藤達朗著)』になります。
30年ほど前の本で、現在は絶版ですので、この機会にいかがでしょうか。

［説明(「はしがき」より)］
本書は, 駿台の学習雑誌ASCENTにおいて1990年度に10回にわたって連載したものをもとにしている。 それを左ページに収録し、右ページに新たに書き下ろした補足説明を加えた。
本書は,各時代がそれぞれどのような大きな特徴をもち, それがどのように変わったとき、次の時代へと移っていくかについて考えてみたものである。 例えば律令制度では,中央において支配階級がどのようにして形成され, また, 中央による地方支配がどのようにして貫徹されたか, を中心にして叙述した。 それを基にして初めて, 律令政治がなぜ摂関政治 院政のようなものに変わり, さらに,なぜ武家政権の成立をみるに至ったかが理解できるようになる。 また, 地方において武士が成長してきた理由や荘園制度のような国家権力の介入を排除する大土地所有制が成立した理由も理解できるようになる。本書が狙いとしたのは,そのようなことである。
論述問題では,本書のように,各時代の大きな特徴を押さえ,それをもとにして歴史の展開をたどることが求められることが多い。 少なくとも, 特徴と展開から歴史を考えるという発想法を持っていないと解答が導けない。しかし,教科書は政治・文化・外交・経済など、あらゆる分野にわたって記述せざるをえないから、教科書だけの学習ではどうしても関心が散漫になって, そのような時代の特徴や歴史の展開をとらえることはきわめて困難となる。 多くの専門書や概説書を読めばそれがとらえられないこともないが, 受験生にそれを求めることは無理である。歴史の研究が細かい専門に分化した現状では,日本史を通観できるような適当な概説書もない。 本書はその欠を補うために執筆された。
本書は,内容そのものが難しい問題点を扱っているのだから、わかりやすいとは言えないかもしれない。 しかし、できるだけ平易に記述しようと努力はした。対比して整理したり、箇条書きしたり,模式図をいれたりしたのは,そのためである。本書の学習を通して、諸君が歴史を立体的な構造として考える習慣をつけることができれば,著者としては,これにまさる喜びはない。

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