ヴェルディ レクイエム Blu-ray テオドッシュウ ガナッシ メーリ ザネッラート 未開封 テミルカーノフ パルマ ファルネーゼ劇場 2011.10.8 日本語字幕 ドキュメント付

ヴェルディのレクイエムです。あのトゥット ヴェルディのセット内の一枚で、同じく “ヴェルディ音楽祭” での上演かと思われる演奏です。会場はいつもの “レージョ劇場” ではなく、パルマ宮殿内の宮廷劇場 “ファルネーゼ劇場” で…これがなんとも素晴らしい所で驚きます。内部は近年の修復らしいのですが、平土間と馬蹄形の階段式客席が古風かつ雰囲気満点で、それだけでも見る価値は充分だと思いました。少し小さめの空間だし 内部は木造だし 過度にダイナミックだったりドラマティックだったりする必要が無い分、この曲として 理想的な演奏が為されていると感じました（大型の公演だと 打楽器奏者が獅子奮迅の大活躍をするのが映し出されますが、その必要がない訳で これが本来だと思います）。
テミルカーノフはすべてに過不足なく 無理なく自然で 間も良く …オペラの時のセラフィンの様な感じで…以前から聞こえていた高い評価が大いに納得されました。 “粘らず捻らず” … “矜持” とまで言うと大袈裟ですが “姿勢” の正しさが印象的です。
ソリストもベストの顔触れだと思います。かの全集をほぼひとりで支えたプリマ テオドッシュウが意外なほどリリックで、とても綺麗な歌を披露しています。椿姫まで歌う方ゆえこれも可能なのでしょう。ガナッシは 重唱になると少しだけ声の不足が感じられるものの 歌は上手く、こんなツボにはまったメゾパートを聴いたのはヴァレンティーニ以来で とても感心しました。メーリは カレーラスのリリコスピントを思わせて近年でのベスト。ザネッラートも 低すぎず 荒すぎず 軽すぎず イタリアンバッソとしては理想的だと思いました。
会場を意識した凝った照明と録画も素敵で、オペラとは一味違う 特別仕様の仕上がりが感じられました。演奏の充実と併せて 画面も端麗 鮮明。私はDVD盤を愛聴していますが、まだご覧にならない方には是非とも とお勧めをしたいと考えます。
その他に、“ヴェルディのバックヤード” という映像が併録されています。こちらは パルマを中心に据えた拡大版プロモーションの様なドキュメントで、“裏庭” よりは “背景” と解した方が相応しい内容です。ヴェルディ理解の上では パリやミラノを採り上げないのは片手落ちだと思われますが、これはこれで プロのキッチリとした仕事で、面白く参考になりました。余談ながら…画面に登場した方が “ルイザ ミラー” とハッキリと発音していて、“ミルレル” とは言っていないのが印象的でした。すでに 慣用句的に定着している事が分かり 安心しました。

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