16世紀クレモナのニコロアマーティを師に持つドイツヴァイオリン製作の始祖、ヤコブシュタイナー(c.16181683)の遺した図案の完全な複製です。
極めてハイアーチなこの個体は19世紀、およそ1830年頃までの演奏技法の発達によるヴァイオリンの構造変化の中で生まれ、バロックヴァイオリンとしてのデザインの中に現代のモダンセットアップに共通するいくつかの特徴を持っています。
オーケストラ音楽が室内楽に取って代わって支配的な形式になるまで、ストラディヴァリ以上の評価を受けていた代表的なジャーマンバイオリンの当来の姿です。



●楽器の状態は？
管理が行き届き大切に保管された極上品です。古い擦過跡により部分的に色が残っていない状態のまま、オールドとしての迫力と外観を損なわない程度のレタッチが行われ、表層は全て高度なフレンチポリーシュにより凹凸の無い艶やかな鏡面です。

古いペグ穴が埋められ継ぎネックされています。境界がわからないレベルの仕事です。

表板には古いクラックが確認できますが、表板裏側の大部分が埋め込みにより新しい素材に置き換え継がれており、様々な悪影響は解消されています。また美観を損なう状態で留め置かれている状態の悪いヴァイオリンではありませんので、違和感、汚感、色覚的な違和感も皆無です。


●音色
①「現代のヴァイオリンでは表現の難しい朗々と響く優美な内鳴りとタッチの繊細さ」、②「近代的な楽曲を学ぶ上で欠かせないパワーと強弱の振れ幅」という一見相反する特徴を良いとこ取りしたオールラウンダーです。
内容積の大きなハイアーチが影響しているのでしょうか、人の声に近いあたたかみを感じるふくよかさと豊かな倍音、経年した良質のヴァイオリンが持つ隙の無い充実した音色です。

バロック演奏、現代曲、どちらにおいても活躍することのできるオールド個体としては最も取り回しの良い状態の銘品です。専門を持たれた方には勿論、古典的なピリオド奏法の研究用として、また初めて現代ヴァイオリンから持ち替える入門者が使用するバロックヴァイオリンとしてもこれ以上ないパートナーとなれるのではと思います。

興味を持たれた方はご検討下されば嬉しいです。

●その他

イタリア帰りのバイオリンです。飛行機での移動が多かったですので若干弦の軋みやピッチの不安定さが残っています。写真撮影時弦はピラストロ社のcordaを張っています。こちらはディスプレイのため少々古いものを使っておりますので、出荷前に不定期に交換することをご了承ください。

この度WIXというホームページ作成ツールにて写真掲載ページを設けてみました。
初めての試みであったため何分苦戦しまして、レイアウトや表示に問題があるようでしたらコメント・質問欄にて教えて下さると嬉しいです。

私のバイオリンをご検討下されば幸いに思います。