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こちらは、ビュッフェ・クランポンスーパーダイナクション（最後期S1仕様）アルトサックスBuffet Crampon Super Dynaction Alto Saxophone（以下「SDA」）です。

SDAは、1957年～1975年（18年間）に製造された当時のビュッフェ・クランポンの上位モデルです。
SDAは、ビュッフェ・クランポン社製サクソフォンの歴代モデルのS1(エスワン)、プレステージュ、現在のセンゾに引き継がれると銘機と評価されるモデルです。
この当時のビュッフェ・クランポンは、クラシックサクソフォーン奏者の巨匠にて祖師マルセル・ミュールの一番弟子ダニエル・デファイエを開発アドバイザーに招き、SDAの後継機銘機S1が開発されます。
ダニエル・デファイエ（同氏の四重奏団）の名演として残るレコードの音源はSAD、S1で演奏されているものが多いのも頷けます。
演奏者としてのデファイエが求め理想とするサクソフォーンのメカニズムや操作性、音色や音質、思想や哲学、美意識も反映されていると感じます。
その後、S1はPrestigeへ進化し、時を経て現在のSenzoへ伝統を継承した孤高の進化を遂げます。

SADは、セルマーMark6に対抗するために開発され市場投入されたモデルと言われています。
ビュッフェ・クランポンのサックスの歴史を振り返るとどうしてもセルマーの存在を抜きには語れないと思います。
ちなみにセルマーMark6の誕生により、サクソフォンのキーメカニズムは、ほぼ完成形に至ったと言われていますが、セルマーMark6の開発には、マルセル・ミュールがアドバイザーとして加わっており、ミュールの奏者としての意見が強く反映されました。

ビュッフェ・クランポン社製のサックスは、クラシック向けの演奏を意識して作られているとされ、独特の遠鳴りする上品で豊かな響きとストレートな吹奏感が特徴的ですが、SADはジャズ奏者にも愛用されていました。ビュッフェ・クランポンのサクソフォンは、多くのクラシックサクソフォン奏者が一目を置く存在なのではないでしょうか。

出品のサクソフォーンは、管体に“Super Dynaction”と刻印がありますが、S1特有のキイ形状や仕様持つ珍しい仕様の個体です。
シリアルナンバーから1970年前半ころに製造されたと推測されます。S1の製造開始は1973年からのためS1が製造時期と重なっています。
デファイエがアドバイザーとして開発に加わっていた当時にSuper DynactionからS1へモデルが変わる過渡期にSADをベースにS1のパーツが奢られ製造されたと考えられます。
経年使用による錆や傷はありますが、製造から約50年を迎えようとする経年を考慮するとオリジナルのラッカーも残存しり凹みや管体損傷の修復跡も見られず状態は良いと思います。
管体上部の横にあるライアースクリューの欠損もありません。よく無くなりやすいライアースクリューは欠損していても演奏に大きな問題はないのですが、本来あるべきものがちゃんとあるのは精神衛生的にもよろしいかと思います。
当時の趣があるビュッフェ・クランポン純正ハードケース付属します。

２年前に都内新宿区のリペア工房にて専門技術者によりオーバーフォールを行っており、タンポやバネなどをリニューアルしています。
マウスピースやリガチャー、リードのセッティングにもよりますが当時のクランポンらしいマイルドで上品なサウンドが感じられます。
キーシステムは、少し慣れが必要と感じます（特に左手小指テーブルキーは慣れが必要と感じます）。

稀少なこのサクソフォーンの魅力と価値を評価される方に落札いただけると幸いです。

お品物発送時は、緩衝材等でしっかりとお品物を保護のうえ手配いたします。
送料は無料、出品者（当方）において負担します。

入札ご検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。